叙事詩『ティプトン』連載第17回

“二百五十年のスリープ期間で、船は二十五回のワープ航法を繰り返すことができる。ティオセノス号の能力では、一回のワープ航法で三光年を飛び越えることが可能だった。現在位置からケプラー186fまでは概ね五十~七十光年の間であると考えられていた。無論、コントロール・センターでは正確な距離が分かっていたが、一般の民衆にはそれも知らされていなかった。”

『ケプラーズ5213』より


── 17 ──


私にも若い頃があったのだと
年老いた私は思う

だが、
それは本当のことなのか

とみにこのところ
過去の記憶が曖昧になっているのだ

(電子書籍化にあたり、公開を終了しました。本連載記事における公開分は、全体のごく一部になっています。ご興味のある方は、電子書籍版をお買い求めくださいますと幸いです)


本連載は、原則として毎週木曜日に掲載します。

晩年の詩人ティプトンは、SF作品『ケプラーズ5213』にちょっとした脇役として登場しています。本当にちょっとした脇役ですが、案外存在感があって、作者のお気に入りキャラクターなのです……

地球を旅立って三千年後、人類は尊い犠牲を払いながらも、計画通りに492光年彼方の惑星ケプラー186fに到着した。
人類は惑星の各地に入植キャビンを送り込み、水と緑に溢れた美しい新天地に入植地を築きつつあった。
だが、人類の生息環境として申し分ないその惑星に、先住生物が存在しないはずはなかった。

 

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