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よし、何とかなった。しかし……

さんざん苦しまされた『そののちの世界』のePub編集ですが、ようやく終了してAmazonさんにデータを提出する直前まで来ました。
何がそんなに大変だったかというと、この短編集は途中から執筆環境を変更したことによって、生成するePUbの構造が全く異なったものになっていたからなのです。

以前の環境は:
執筆/iText Pro
変換/easy epub
これが、短編集の前半を執筆・変換した環境です。

現在の環境は:
執筆&変換/Hagoromo
これが、短編集の後半を執筆・変換した環境です。

あ、もちろん、移動中のテキスト打ちはiPod touchでPlainText2ですが。

Hagoromoは完成時と同じ縦書きで執筆しながらルビをふり、圏点をふり、相対的な文字サイズや行揃えなど、最終的なePubデータとほぼ同じ状態で書き進めることができます。これはとても素晴らしいことなのですが、一つ盲点がありました。
それぞれの物語は短編で、基本的にePub内の文書本体データは1ファイルのみでした。今回の合冊化では、当然のこととして各短編ごとに文書データ(xhtml)を分割する必要がありました。全ての文書を1ファイルにまとめてしまうと、Kindle端末のメモリーを圧迫してしまい、ページめくりがもたついたり表示がスムーズでなくなったりするのだそうです。
そこで、Hagoromoの機能を勉強し、章ごとにデータを分割するようにしました。Hagoromoにはアウトラインプロセッサの機能があり、章タイトルをアウトラインの親要素に指定すると、ePub書き出し時に改ページさせることが出来るのです。基本的にePub3では改ページ=別ファイルと考えられましたので、これで問題は解決、と思ったわけです。

ところが、これが違っていました。たしかにアウトライン機能を用いて書き出したePubは改ページされていました。でも、ファイルは分割されず、一つのままでした。実はこのHagoromoは、古いePubリーダーにも対応できるよう、旧形式互換のデータを吐き出すような仕組みになっているらしいのです。(まあ、技術的なことはよく分かりませんが……)
ePub2(もしくは古い仕様のePub3?)の中にはtoc.ncxというファイルがあって、これが端末上での改ページをコントロールしています。tocとはTable of Contents、つまり目次を制御するファイルということなのでしょう。これでコントロールされているため、文書ファイルを分割する必要がないのです。

前述のように執筆の前後半で環境を変えていたので、書き出されるePubも全く違うものになっていました。これを同じ構造に合わせない限り、一冊の本としてまとめることは出来ません。
書き出す環境が違えば、改ページだけでなく、cssの記述も全く違いますし、ファイル名のつき方も違います。一見同じようなePubファイルですが、中身をみると完全に異なったものです。
そこで、いったん書き出したePubファイルをバラバラに分解し、cssを全て書き直し、ファイル名を付け直し、圏点や縦中横の記述も書き直しました。

まあ、そう書いてしまえばそれだけなのですがね、何せ十作分、300ページを超える分量なので、修正を入れる度に何かしらエラーが発生します。それを直しているうちに不注意でデータを壊してしまったり、一括検索置換で間違った修正を入れてしまったり、いろいろなことがありました。

教訓:一冊の本は一種類の環境で書け。当然ですね。
それから、章で分ける必要のある本は、Hagoromoの書き出し機能を使うな。(アウトライン機能で分割すると、勝手にインデントが付いたりしますし)

こうして無事、『そののちの世界』の原稿はePubからmobiファイルに変換し、Amazonさんにアップできました。(刊行はまだですが)

さて、これが完了したら次は、後二冊の無料化作業です。そのうちの一冊『壁色のパステル』は、すでに有効なePubに編集済み。楽天KOBOへのアップもすぐに出来ました。

もう一冊残った『さよなら、ロボット』。これが問題でした。

この本は、通常のePubにはないmobi用の構造になっているのです。Amazonのヘルプを見ながら、手作業でmobi用のタグを埋込みながら作ったファイルなので、通常のePubとは互換性がないのでした。具体的な点を挙げると、この物語にはコンピューターに隠された過去のライフログ・ファイルを閲覧するシーンが多く出て来ます。その表現を、囲み罫を使って書いているのです。つまり、段落全体を罫線で囲った状態で表示させているのですね。
下記がそのキャプチャ。

囲み罫を多用している『さよなら、ロボット』
囲み罫を多用している『さよなら、ロボット』

 

これのePub版を考えなきゃ、というわけです。そもそも、『さよなら、ロボット』のePUbはiBooksで開いてもePub Checkを掛けてもものすごい数のエラーが出るので、相当な手術が必要かなあと思っています。Pタグ、Divタグのエラー以外に、Fontタグなんかも使ってるようですし。元は2013年に作ったファイルですからねえ……。

罫囲みをePubで再現する方法があるかどうかは分かりませんが、恐らくはインデントと斜体プラス引用符か何かでそれっぽく表現することになるのでしょうね。

いい方法をご存知の方がいましたら、教えてくださらないかなあ。なんて夢見ている淡波でした。

これから群雛用の原稿も書かなきゃならないし、『さよなら、ロボット』の無料化にはいろいろと越えなければならないハードルがあるようです。というお話でした。
無料になるのを待ってくださっている方、もう少し気長にお待ちくださいませ!

さて、この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!
(久し振りの決め文句だ)

近々無料化する予定の淡波本、5作

果たしてどちらのタイミングが読者さんのためになるのだろうと迷いつつ、予定の6月末がジワジワと近づいて来ている。

短編連作『そののちの世界』をまとめた短編集を出すにあたり、この中の3冊を無料化しようと思っているんだ。(もちろん価格の決定権はAmazonさんにあるので、これはあくまでも自分としての予定だけど)
無料化する予定の3作は、もうKDPセレクトが終了し、いつでもその手続きに入ることが出来る。
まずは楽天koboさんで無料化し、その価格をもとにAmazonさんにプライスマッチ申請をすることになるだろう。

10作の短編は今までそれぞれ99円で、合計では990円もの金額になってしまうから、まとめてお求めやすくしようという計画だ。今のところの予定価格は350円。強気価格の部類に入ってしまうかもしれないけど、ボリューム感はたっぷりだし、淡波本の価格基準(?)で言えば標準的なところかと思う。
この連作の今までの売上推移を見ると、有料版を数冊以上ご購入くださった方はほとんどいないのではないかと思われる。そりゃそうだ。月1冊の刊行程度であればお小遣いへの負担も大きくないけれど、月に3冊ずつ出ていたこの連作をコンスタントに買うとKDP本としては高額商品と感じる部類に入ってしまうのだから。

さて、短編集のうち、無料化対象がどの作品かというと、下の画像にあるように第1話の『夜啼く鳥』、第5話の『プロテイン・パック』、第6話の『段ボール箱の中の人形』だ。

やはり導入として、第1話は欠かせない。どれを最初に読んでもいいようにはなっているけれど、やっぱり1話目から読みたいという需要はきっと大きいだろう。一番人気の第6話も外せない要素。もう1作をどれにしようかは、結構悩んだ。段ボール箱〜に引き続き五つ星レビューをいただいた『五感の嘘』も考えたけど、無料で五つ星2作を読むとそれより《評価が低いように見える》作品には手が伸びない可能性は否めない。そこで、自信作だけどあまり読まれていない『プロテイン・パック』にスポットを当てようかと考えた。
これで気に入れってくれれば、短編集にはもっと評判のいいものも入っているじゃん、と思って触手を伸ばしてくださる可能性があるのではないかと。
よし、そこまではいい。そこで文頭の悩みに立ち返ると、大事なのは無料化のタイミング。勿体ぶらないでとっとと無料にしなよ、という声が聞こえてくるけど、ちょっと考えさせて欲しいんだ。
無料の3作を読んだ読者さんが、有料の本に興味を持ってくださる。1冊が99円だから、まあ、そう高い買い物ではない。でも、面白いからどんどん読んじゃおう、って思ったとき、残りを全部読みたかったら693円もの買い物になってしまう。これからおトクな350円の合冊版が出るというのに!
だから、やっぱり合冊版の刊行と同時に無料化するのがフェアじゃないかと思うんだ。合冊版の宣伝のために無料化するという側面に目をやると、それはせっかくのタイミングを逸するようにも思われる。宣伝開始と刊行開始が同時なんて、普通に考えると意味がないわけで。

だから、まあ少なくとも前述の無料化3冊については、「今はポチらないでくださいな」というのが僕からのお願い。

短編集以外でも、無料化するためにKDPセレクトの期限が切れるのを待っていたのがもう2冊。『壁色のパステル』『さよなら、ロボット』だ。
壁パスについては処女作だし、生まれて初めて書いたまともな小説だから、無理にお金にしようとすることもないんじゃないか、と思った。これまでお金を出してくださった読者さんには申し訳ないけど。でも壁パスは僕の作品の中で、これだけ全く違うカラーの作品。《家族小説》とうたっているとおり、SF要素もファンタジー要素も、殺人も何にもない。ほんのちょっと恋愛の要素とミステリー仕立(?)の要素が入っているくらいで、ほんわかした平和で暖かい物語だ。自省的で内面的なもの。これはこれで気に入った作品だし、読者さんからの評価もいただいている。断じて投げ売りなんかではないのだ。
でも、この作品が初めて触れる淡波亮作だった場合、そのイメージが別の作品を有料で読むことへの抵抗になるかもしれない。ほんわかしたライト文芸が好きな人が、例えば『ケプラーズ5213』みたいなSFに手を伸ばしてくださるとは思えないもの。
そうでなくても全く違うイメージの有料作品を手に取ろうとするかは微妙だし、壁パスの想定読者とその他の作品の想定読者はかなり異なるものだから。

そこで、もう一つの入り口として『さよなら、ロボット』の出番が来るわけだ。エンタメ系で、読者さんからの評価もいい。エンタメ《系》ではあるけど、ゴリゴリのノンストップ・エンタメではなく、何も考えずに楽しめるストレートなものでもない。そこには重さや暗さが潜んでいるし、ひねくれた視点や耽美的な愉しみも盛り込んでいるつもり。ここで淡波小説の世界観を堪能していただければ、次へ進むのも楽しみになるかな、との期待を持っているのだ。

この五冊が無料化予定!
この五冊が無料化予定!

 

もう一つ、この無料化を決めた重要な要素があることを忘れてはいけない。僕がKDPで初めて著作を刊行してから、もうすぐ2年半になる。なんとかして読者さんの数を増やそうと自分なりに工夫して頑張っているつもりだ。だけど僕の知名度と言ったら、《悲しいほど》を通り越して《あわれを誘うほど》低い。マネタイズを急ぎ過ぎたと言われても言い返す言葉はない。全然ない。当時はフリーミアムなんてイカした考え方も知らなかったし。

知られる努力が足りないんじゃないのかと言われればその通りだろうし、努力の方向がずれてるんじゃないのかと問われれば、それもその通りだろう。でももし、一度僕の本を手にとってもらえたら、きっと好きになってくれる人はいるんじゃないか。少しだけ、その自信はあるのだ。僕の作品は決して万人受けするようなものではないし、メガヒットを狙えるような部類ではない。でも一定数の読者をガッチリつかむことができる面白さは備えているんじゃないかと、信じているのだ。
だったら、子供のお小遣い程度をチマチマ稼いでああだこうだ言ってるんじゃなく、手に取ってもらう機会を少しでも増やすことこそが、今、僕の取るべき道なんだ。そう思うようになった。(全てを無料化して、時々美味しいワインを飲む愉しみをなくすようなところまでは割り切れないけれど……)

この5冊を無料化すれば、これまで出してきた全シリーズのエッセンスに無料で触れることができる(『ケプラーズ5213』は『そののちの世界』と姉妹作だと言っておこう)。
そうやって僕の作品世界を少しでも気に入ってくださる読者さんの数を増やすことができれば、この先もっともっと面白い本を出版した時に、有料でも手に取ってもらいやすくなるはず。ね、あなたもそう思うでしょう?

さあ、無料化までもう少し!

どうか、この記事を読んだ方の何人かでも、無料化を楽しみにして待っていてくださるといいんだけど(≧∇≦)//