Blender2.78、左クリッカーの憂鬱

WindowsでBlenderを使っていて、左クリック設定にしている皆さんに報告です!
バージョンを2.78に上げると、とんでもないことが起こっちゃいます。

ご存知、Blenderは本来右クリックで「選択」が標準仕様。
でも、そこがあまりにも変態と言われ、だから挫折する初心者が多いのだと言われ、幾年月……。
僕も最初は頑張って右クリック仕様に慣れようとしましたが、同時に使用している他の全てのソフトウエアが左クリック選択ですから、もう慣れれば慣れるほど他のソフトでクリックミスをするようになり、次第にばからしくなって諦めました。

何しろ、初期設定のかなり基本的な部分に【左クリック設定】に変えるメニューがありますからね。
開発しているBlender Foundationとしても、そこは織り込み済みなのだろうと思っていました。

赤枠囲みのこれですね。
赤枠囲みのこれですね。

だからここ数年というもの、僕は当然のように、常に左クリック標準設定にしていました。

今回バージョンを2.78に上げた時も、同じように設定していました。
というより、Blenderとは便利なソフトで、新しいバージョンをインストールして起動すると、最初のスプラッシュ画面で尋ねてくれるんですよね。
「これまでの設定を引き継ぎますか?」って。
ここにチェックを入れることで、初期設定はもちろん、別途インストールしたアドオン(=プラグイン)までそのまま使えるようにしてくれるのです。Blender、すごいです。気が利いてます。

家ではMac版を利用していますが、Win版とMac版でほぼ全く同じUI、使用感というのも素晴らしい点です。
何の不具合もなく、家ではMac版の2.78を使用しています。

で、先日必要が生じて、会社で使っているWin版のBlenderを2.78にアップデートして使ったのですよ。で、焦りました。びびりました。
何がって?

左クリック仕様に設定すると、なんと、移動や回転に使用するマニピュレーター(=maxなどで言うギズモ)が触れなくなるのです。
オブジェクトを左クリックで選択し、オブジェクトの上にマニピュレーターが表示されます。さて回転させよう。
──はい、おしまい!

Blenderは【オブジェクトに対して2回目のクリックを行なった】と解釈して、【自在移動モード】に入ってしまいます。
どんなに一生懸命マニピュレーターの矢印や輪っかを触ろうとしても、オブジェクトはただゆるゆるとあらぬ方向に移動してゆくのです。

回転のマニピュレーター
回転のマニピュレーター

自分が悪いのかと思って、いろいろと試しました。一生懸命触ろうとしました。
でも、Blenderは無情にオブジェクトをゆるゆると移動させます。

これがどうしてなのか判明するまでに、結構時間がかかりましたね。何かとんでもないバグが、このバージョンにはある。この使い勝手じゃもう仕事で使えないよ〜と絶望的な気持ちになっていました。
でもあるとき、ふと思いついたのです。

左クリック設定のせいではないのか?
──と。

心を鬼にして(?)初期設定を開き、右クリック設定に戻してみました。
すると、あらあら不思議、先ほどまでの不具合はどこへやら……。普通に使うことが出来るようになっていました。もちろん、右クリック選択には慣れていませんからね、ついつい左クリックをしてしまい、あちこちに3Dカーソルを移動させる結果にもなりました。

つまり、こういうことらしいのですよね。

Blenderは右クリックで選択するのが標準。左クリックは、【決定の動作】に用いるもの。
 まあ確かに、左クリックは決定、と言われれば説得力があります。
 で、左クリックに【選択】と【決定】の両方の機能を持たせるのは合理的ではない。この二つの操作はまったく異なるものであるから。

そう言われれば、確かにそんな気もします。

左クリック標準の設定にした際も、Win版のバージョン2.78では左クリックに【決定の動作】をさせる役割が残るようになった。
という仕様変更が秘かになされたのではないか……と。

一つのソフトの根本的なマウスの使い勝手が、初期設定一つで逆転出来るという仕様も、開発側からすれば理不尽なものかもしれません。
でもねえ……。

Mac版では今まで通り動作しますから、何かのバグであることを祈るしかないのですが。

ということで、Win版のBlenderを左クリック標準の設定で使っている皆さんへ:
 はっきりいって現在のバージョンでは、まともにモデリングすることは出来ません。かなりの高機能化が図られた2.78ですが、この仕様が直る(?)まで前バージョンを使い続けるか、右クリック設定に慣れるか、非常に難しい岐路に皆さんは立たされているのです……はい。

しかし、本当はどちらなんでしょうねえ?

財団はとうとう左クリッカーを駆逐するすることに決めたのか、それとも単なる仕様設計ミスなのか……。
これを考えると夜も眠れません(ぐーぐー)。

あ、あともうひとつ残念なポイントがありますね。

削除のショートカットであるxキーを押した時の動作です。

Mac版では、マウスポインタが常にDeleteという文字の上に出ます。確か、Win版でも今までのバージョンではそうなっていたかと思うのですが、2.78ではダイアログの外にポインタが出ます。
【xキーを押してそのままクリック】というスピーディーな操作が出来なくなってしまっているんですよね。
【xキーを押して、マウスをDeleteボタンに合わせ、クリック】あああ、なんてまだるっこしい。これならdeleteキーでいきなり削除出来た方がいいんじゃないのか、なんて思ったりもしてしまいます。

これがたまたまで、操作性改悪でないことを祈りつつ、今日はお別れの時間が参りました──。

この記事が、いつか誰かの役に立ちますように!
(超久し振りにこの決め文句を使った……w)

じゃ、また明晩!

◼︎先ほど、Win64bit版の2.78で、「左クリックだけれど異常はないよ」というご報告を頂きました。どうやら、誰にでも共通の問題ではなく、個別の設定が関わっているようです。2.77から初期設定を引き継ぐと問題が起こる可能性も指摘してくださいました。明日以降確認し、またこの欄で報告させて頂きますね。【10/18追記】
◼︎Win版の不具合につきまして解決しました!
 やはり旧バージョンの初期設定を引き継ぐと起こることがあるもののようです。初期設定を全て削除し、起動し直したらマニュピレーターが触れるようになり、デリートのxキーも通常の振る舞いに戻りました。
 良かったァ。アドバイスくださったみなさま、どうもありがとうございました(≧∀≦)//
 これでまた普通に使えます。【10/19追記】

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